用語集: 建築CGパース・アニメーション関連
CGパースやアニメーション制作関連の用語・
CADや設計、プレゼンに関しての用語も。
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建築パースに関する基礎用語
パース(建築パース・CGパース)
一般的にパースは建築物を表現するために描かれた完成予想図を意味する。
「パース」という部分は、パースペクティブビュー(透視図)が由来となっている。まだ手書きで透視図法を利用していたころに出来た用語だと推測。「建築物のパースペクティブビューを描く」という意味で「建築パース」という用語が一般化したと思われる。完全な和製英語なので英語圏の人間にパース。といっても通じない。Architectural Visualization(建築の視覚化)と英語では表現することが多い。
最近では、パソコンのCGソフトを利用して「建築パース」を制作しているのは周知の通り。CGパースと呼ぶ場合もある。
CGは、コンピュータグラフィックの頭文字をとったもの。
モデリング モデラー
モデリングとは、パソコン上のCGアプリケーションの3次元(仮想の)空間の中に形状を入力する工程。3次元(つまりXYZの座標の中で)頂点や線、面を指定して形状を定義する。
モデラーはモデリングするソフトウェア。
3ds Maxのような3DCG統合ソフトには、モデリングからレンダリングまでできるので、レンダラーをも内蔵していると考えていい。
建築パースやアニメーション制作する場合、建築物が対象物なので、建築物の設計図面を参考にデータを入力する。CADデータをCGソフトに読み込んで利用するとモデリング工程を速く進めることができる。
大きく複雑な建築物や、家具を建築パースの中に入れたい場合は、このモデリング(形状入力)作業が時間がかかる。
一般的に、大きく複雑な建築物ほど予算が掛かってしまうのはこのためでもある。
レンダリング・レンダラー
レンダリングとは、パソコン上のCGソフトで、最終的な画像をする計算生成する工程。
レンダラーは、レンダリングするソフトウェアのことを示す。
3ds Maxのような3DCG統合ソフトには、モデリングからレンダリングまでできるので、レンダラーをも内蔵していると考えていい。
建築パース(静止画像)をレンダリングする場合、数十分から数時間。
アニメーションの場合は、数日にわたって計算が必要な場合もある。特にアニメーションの場合、この計算工程が長くなるので、スケジュールに影響を与える。
画像の画素数(解像度)
デジタル画像の場合は、色が違う一つ一つの正方形を無数に並べて、画像を表現する。
一つ一つの正方形を画素という。この画素数が大きいほど、精細な画像ということになる。
つまり、拡大して利用することができる。
デジタルカメラで1000万画素のカメラと400万画素のカメラで撮影した画像データを大判ポスターの印刷に利用したとする。前者のほうが大判ポスターなどで印刷して近くで寄って見ても粗くない。つまり、画素数が高い(大きい)=拡大しても精細な画像といえる。
「解像度」は本来、単位面積当たりの画素数のことだが、一般的に画素数と同じ意味で使われることが多い。
画素数(解像度)と計算時間の関係:
建築パースつまりCGを制作するときも画素数は制作の時間やコストに連動する。画素数が上がれば、コンピュータでの計算時間が長くなっていくからである。
解像度を意識して制作する必要がある。
原理上解像度は無限に大きくできるが、それでは計算時間が膨大になってしまう。
限られた計算時間の中で、利用目的に合った解像度の設定が必要。
大判ポスターに使うのか、A4サイズで使うのか。など、最終納品画像の解像度を決定する。
レタッチ(写真との合成・補正作業)
レンダリングが完了した画像にクオリティを上げる仕上げ作業。写真との合成、色の補正などを行う。このレタッチ作業により、建築パースは完成する。画像編集ソフト、つまりAdobe Photoshopで行う。
Photoshop(画像編集アプリケーション)では、空や樹木、人物などの写真を切り抜いて、レンダリングした画像に重ね合わせる。また旧来のノウハウを維持したCGパース制作者の場合、建物の陰影や光沢感、影などを「まるで絵を描くように」書き足すことがある。この作業に時間がかかるため、建築パース制作は職人的な作業と思われがち。
この写真合成などの書き足しによって、レンダリングした画像のクオリティアップは望めるが、アニメーション(ムービー)の制作には使えない。
建築CGアニメーションに関する基礎用語
アニメーション(ムービー)
建築パースが一枚の絵とすれば、アニメーションは動きのある絵、つまり動画ということになる。
複数の絵を時間の経過とともに切り替えて表現している。パラパラマンガを思い出すとよい。つまりアニメーションとは、時系列で並べた絵の集合体。
建築のアニメーションでは、
ディズニーなどのアニメーションと違い、建築物が主役なので人間やその他のものが動くことは少ない。ドアなどが開く程度に限られる。基本的に、カメラ(つまり視点)に動きを与え、動画を作ることで建築物を説明(プレゼンテーション)する。
カメラの動きが変わるアニメーションには大別して、
ウォークスルー・アニメーション、フライスルー・アニメーションなど、動きのよって種類が分かれている。
参考:CGで作る場合、元々建築パース(静止画像)もアニメーションも、同じデータから作るため、アニメーションの中の1コマが建築パース(静止画像)と考えることもできる。
動きの滑らかさは、フレームレートで決定する。
ウォークスルー(アニメーション)
人間の歩く経路を参考にしてカメラを動かすアニメーションをウォークスルーアニメーションと呼ぶ。
英語ではWalkthrough
建築物を利用する人間がどのように見えるかなどの参考になる。実際にマンションのエントランスに来たときの感覚や、住戸内を歩き回った場合の感覚をバーチャルに体験できるというメリットを持つ。
静止画像(建築パース)だけでは表現しにくい空間の連続性を再現できる。
フライスルー(アニメーション)
建築物を見下ろすように周囲を(まるで鳥のように)飛ぶ(fly)ようにカメラをを動かすアニメーション。これをフライスルーアニメーションと呼ぶ。
建築パース(静止画像)では、このようなカメラアングルを鳥瞰パースとも言うが、フライスルーアニメーションとは鳥瞰パースの視点が、時間の経過とともに動く。つまり「建物を鳥のように眺める動画」と思って良い。
使用例:
外観のデザインや、構造はもちろん、建築物と周囲の関係性を表現する場合に用いられ、大規模建築物の設計コンペやプレゼンで良く用いられる。
実写でこのような視点で特に動画撮影するのは大変コストがかかってしまうので、CGで実現するメリットは大きい。
フライスルー: 英語ではFly-through
フレームレート
アニメーションでは、複数の絵を連続的に切替て、動画をつくる。
フレームレートとは、動画1秒間に何枚の絵を切り替えるかを意味する。単位はFPS。(frame per second)
映画の場合、通常24FPS。つまり24分の1秒で、1枚の絵が次の絵に切り替わり、それが繰り返されるということ。テレビ機器では30FPS。
フレームレートが高ければ、それだけ滑らかな動きになるが、CG制作時に時間とコストがかかる。これは主にレンダリング(計算)する際の時間によるもの。
たとえ10秒の動画であっても、fpsが24の場合、240枚の絵(=フレーム)が必要になり、数分のアニメーションでは膨大な数のフレーム数が必要となる。つまりパソコンで計算する際にそれだけ時間がかかる。ということ。
※通常のプレゼンでは、24FPSではなく、10FPSから15FPSの設定でアニメーション作成することも考慮に入れる。納期などの条件により相談して決める。
10FPSのアニメーションを滑らかにするために20FPSにしようとすれば、目安として、約二倍のレンダリング計算時間がかかると思って良い。
映像編集作業
レンダリングが完了した「動画=アニメーション」にクオリティを上げるための仕上げ作業。
静止画像=建築パースはPhotoshopを使って仕上げるが、アニメーションの場合はAfterEffectsなど動画を編集するアプリケーションを使う。
建築パースで行ったレタッチ作業のように、動画(映像)に対して色補正(トーンカーブ補正等)や、場面転換の効果などを与えることでクオリティアップを行う。
場合によっては、人物や背景のムービー素材を別に用意して合成することもある。
また、(映画のオープニングのように)タイトルの挿入や、’キャプション(説明文)を挿入することも、この映像編集作業の工程。
動画の場合、静止画像と違ったノウハウが求められる。この映像編集作業によって、プレゼン効果の高いアニメーション制作となりうる。そもそもアニメーション制作では時間軸の概念が入ってくること、またやり直しが難しい(計算に時間がかかる)ため、事前の綿密な打ち合わせが必要。
グローバル・イルミネーション
日本語では(直訳的に)「大域照明」と訳されていることも多い。
簡潔に言えば、グローバル・イルミネーションとは、間接光をレンダリング計算の際に考慮して計算することである。種類としては、パストレーシング・フォトンマップ・ラジオシティなどがある。
※イルミネーションとは「照明」のこと
なぜグローバル・イルミネーションを私たちが使うのかと言えば、よりフォトリアルな(写真のような)CGをつくるために必要だから。<
古いタイプの計算方法、つまりグローバル・イルミネーションでないレイトレーシングやスキャンラインでは、光源から直接形状に照射される光の影響しか計算できなかった。(つまり、二次的な反射光が全く考慮されていない)これをグローバル・イルミネーションと分けてローカル・イルミネーションと呼ぶ。
グローバル・イルミネーションでは、光源から放たれた光がAにあたり、そこから反射した光が別のBに当たって影響を受けるという様子も計算できる。(二次的な光の反射を考慮できるようになったということ。)
現在ではさらに高度で複雑な「光の振る舞い」についても計算できるような手法が追加されてきている。例えば厚みのあるガラスなどを透過した際の集光効果など。
このグローバル・イルミネーションのメリットは、より現実に近いリアリティの高いCGを作ることができるようになる。ということ。特に建築パースを作る際、時代とともに、より写真に近いものができるようになっているが、このグローバル・イルミネーションのお陰ともいえる。
デメリットは、複雑な計算が必要になるので、レンダリング計算に時間がかかるようになるということ。パソコンの性能が上がってきてはいるが、それでも計算能力は有限であることに間違いはない。自然界におこる物理現象をすべて計算することは、不可能に近い。なぜなら無限とも言える要素を計算しなければならないからだ。
よって、フォトリアルCG(建築パース・インテリアパースなど)を作る制作者は、適宜適切な計算手法などを取捨選択して、よりクオリティの高いCGを制作するよう努力している。
補足: このグローバル・イルミネーションを使う場合、物理や照明の知識が必要となり科学的な知識やアプローチが必要になってくる。その知識を身につけた人とそうでない人の差がクオリティに直結してしまう。
CGアプリケーション CGソフトウェア:
建築パースを作るためのアプリケーション
CGを制作するためのソフトウェアは、世界中にいくつも存在している。
モデリング(形状入力)に特化したものを、モデラー
レンダリング(画像生成)に特化したものをレンダラーと呼ぶ。
モデリングやレンダリングすべてを一つのアプリケーションでできるものを統合アプリケーションと呼ぶことがある。
3ds Max, Maya, Cinema 4D, Modoなどは「統合アプリケーション」
基本的に建築パースはどのCGアプリケーションでも制作することは可能。
CGソフトにはそれぞれ得意な分野があるのだが、現在建築パースを作るためによく利用されているソフトとしては、以下のようなものがある。3ds MAX, Cinema4D, modo, Shade
Shadeは国産のCGアプリケーションで、(建築パースを作るなら)10年ほど前までならお勧めできた正常進化が止まってしまったソフト。
現在では他の一般的な業務ソフトとの歴然とした機能差があること、また未完成な機能が中途半端に実装されていることなどなど、問題が多く、現在の業務ワークフローには向かず、作業効率も悪い。Poserなどとの連携があること、国産で、古くからのユーザーが多くのガイドブックを出していることなどからユーザーは多いが、、。
modo。今、注目している統合CGアプリケーションの一つ。柔軟なモデリングを中心として整理されたユーザー・インターフェースを持ち、近年複雑で高機能になってしまったCGアプリケーションの中でも使いやすいと評判である。マイナーなため、外部プラグインなどは少ない。
3ds Maxが、最も高機能、ハイエンドなCGソフトウェア。全世界にさまざまなジャンルのユーザーを抱えるため、モデリング、レンダリング、キャラクターアニメーションなど、多岐にわたるプラグインをサードパーティが開発されているため、CG業界全体でのデファクトスタンダードとなっている。その反面、インターフェースは煩雑な傾向があり、高機能故に使いこなすには広範囲にわたる知識が必要。
Cinema4Dは、ややマイナーだがハイエンドに迫る機能を持つCGソフトウェア。ユーザー・インターフェースが優れており、機能を使いこなす柔軟性を持つ。どちらかというと個人ユーザーや小規模な制作スタジオに向いているといえる。